そもそも『延命十句観音経』とは、臨済宗の中興の祖と言われている『白隠禅師』 が檀家信徒に強く推奨した『世界一短い』お経です(僅か 42 文字)。
ただし、『延命十句観音経』の来歴については、ハッキリしたことが分かっていません(どこの国の、誰が、いつ、作り上げたのか良く分からないのです)。
一つ確かなことは、仏典ではない『偽経』とされていることです(ちなみに、『偽 経』と言う言葉は、あくまで分類上の用語であり、内容について評価した言葉で はありません)。
取り敢えず、経文は以下の通りです。
【延命十句観音経】
観世音。南無仏。(かんぜおん。なむぶつ。)
与仏有因。与仏有縁。(よぶつういん。よぶつうえん。)
仏法僧縁。常楽我浄。(ぶっぽうそうえん。じょうらくがじょう。)
朝念観世音。暮念観世音。(ちょうねんかんぜおん。ぼねんかんぜおん)
念念従心起。念念不離心。(ねんねんじゅうしんき。ねんねんふりしん)
【口語訳】
観世音菩薩に帰依します。
我々は仏と因縁でつながっています。
三宝の縁によって、「常楽我浄」を悟ります。
朝にも夕べにも観世音菩薩を念じます。
観世音菩薩を念じる想いは我々の心より起こり、
また観世音菩薩を念じ続けて 心を離れません。
白隠禅師は、以上の『延命十句観音経』について、霊験がある(死罪を受け、処刑されそうになった武将が難を逃れた、死の床に伏していた人が突如回復した、 等々)ことを自らの実体験をも加味し確認した上で、九州の大名に長文の書簡を 送りました。
これが『延命十句観音経霊験記(1663 年)』として著され、その複製本は『国立 国会図書館』にも収蔵されています
コメント